「ビリケン物語」ついに完成しました!

11月21日早朝、通天閣営業時間前に「ビリケン物語」の展望台窓への貼り込みを開始、午前8時にはすべて完了しました。
詳細は制作日誌をお読みください...

ごあいさつ

この企画は、昨年から大阪府が主催している「おおさかカンヴァス事業」に、TMゼミとして参加したらどうですか? というお勧めを、竹熊が知人から受けたことから始まりました。

私は、TMゼミはマンガを描き発表するためのゼミなのだが、作品は個人製作に限らず、ゼミ生が協力し合って作品を作る目的もある。共同制作でマンガを作ることはよくありますが、たとえば井上雄彦さんが美術館の部屋全体を使ってマンガをインスタレーションし、観客が部屋を回ることで「マンガの内部に身を置き、体験する」発表方法をとったように、マンガには、印刷物以外にも多様な見せ方があると考えていました。

「おおさかカンヴァス」は、現代美術の新しい発表手段として、大阪府の全面協力により大阪の町をアートで埋め尽くそう、大阪ならどの場所に作品を展示してもよい、という大胆な企画です。マンガを新しい形で発表することが可能なイベントでもあります。

三河先生の賛同を受け、さっそくゼミ生に声をかけたところ、前例のない企画に戸惑うゼミ生もいれば、面白がって参加を希望するゼミ生もいました。精華大学はもともと美術大学です。参加希望の学生はマンガ学部生に限らず、洋画や日本画を専攻しながら漫画を描いている学生や、デザイン学部や人文学部の学生も参加しています。こうした人たちは多様な発表形態に慣れていますので、そうした学生が有志として協力することで、「新しいマンガのかたち」ができそうだと思いました。

いろいろな企画が出た中で、企画書として大阪府に提出したのがこのページに紹介した「ビリケン物語~通天閣純情編」であります。通天閣は大阪の象徴のような場所で、全国で知らない人はおそらくいないでしょう。しかもビリケンという絶好のキャラクターもいますので、これを主人公にした漫画を描こう、そして通天閣の展望台の窓ガラスをマンガのコマにして、大阪の町を背景に見下ろしながら360度、ぐるっとマンガが続くのは面白いと思った次第です。
私が考えたのはこれだけで、登場人物は「大阪ゆかりのキャラクターを多数登場させる」という以外、ストーリーはゼミ生と打ち合わせ中です。

幸い企画が審査を通過し、通天閣さんの全面協力のお約束も取り付け、現在ゼミ生と鋭意制作中です。今年(2011年)の11月下旬から、12月下旬までの一ヶ月間、通天閣の4階展望台で「発表」します。

具体的な内容や発表期間が確定しましたら、制作経過を含めて随時この公式サイトで発表していきたいと思います。ご期待ください!

TMゼミ共同代表・竹熊健太郎(京都精華大学マンガプロデュース学科教授)

TMゼミとは

2010年6月に京都精華大学で新たに発足した、マンガ系ゼミの事です。

漫画原作者及び、編集家、ライター、京都精華大学マンガプロデュース学科教授の竹熊健太郎と、講談社kiss編集者、京都精華大学マンガプロデュース学科准教授、三河かおりの両者が中心指導を取り、TとMのイニシャルはこの両先生の頭文字から来ています。また、大学からWEBマガジンを発信し、新しいマンガのあり方の探求を目的としています。

集まる生徒は精華大学の二回生以上であれば、分野、学部、学科関係なく院生、卒業生も参加可能で、単位は一切出ませんが、マンガ関係者を中心に学生を育てていく、まったく新しいスタイルのゼミとしてスタートしました。

竹熊 健太郎

フリー編集者兼ライター、マンガ原作者。竹熊健太郎写真
京都精華大学マンガプロデュース学科教授。
多摩美術大学美術学部で非常勤講師も勤めている。
代表作に『サルでも描けるまんが教室』(相原コージと共著)
インタビュー集『箆棒な人々』など。

三河 かおり

フリー編集者。三河かおり写真
京都精華大学マンガプロデュース学科准教授。
角川書店ヤングロゼ編集部にて漫画編集に携わる。
1996年フリーとして独立。
講談社Kiss編集部に編集業務委託を受ける。
『のだめカンタービレ』『コスメの魔法』などを担当。