ビリケン物語 太郎とマリケン純情編

11月21日

本日早朝、通天閣営業時間前に「ビリケン物語」の展望台窓への貼り込みを開始、午前8時にはすべて完了しました。

最初はゼミ生総出で貼り込みを行おうかと考えましたが、竹熊はじめiPhoneの画面シートすらうまく貼れないのが揃っているため、確実を期するためにプロの業者さんにお願いすることにしました。さすがはプロ、ほんの3時間ほどで36面全部の窓に貼り込みが完了してしまいました。

できあがった現場写真が上であります。壮観だと思いませんか? この作品ばかりは現地で体感していただかないと真価がわからないと思います。大阪の都会を眼下に見下ろしながら、360度ぐるっとマンガに囲まれる体験というのも、乙なものですよ。

作品の正式公開は23日ですが、実はもう、通天閣行けば全部見れちゃいます。ただし作品の全部が掲載されている公式パンフレット(無料)が届くのが明日の夕方以降ですので、配布は23日からとなります。

そういえば本日、通天閣で毎日新聞の取材を受けました。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111121k0000e040015000c.html

朝8時に取材されて、それから京都に戻ったんですが、10時半に途中の電車の中で記事がアップされたのを知り、新聞記者の執筆能力の凄さを実感しましたです。

11月9日

今日は完成した原稿をデータ化したファイルのチェック作業を行いました。

通常、マンガをデータ化するには、原稿をスキャナでスキャンしたデータ上にIllustratorというソフトウェアを使って台詞部分を入力します。
しかし、今回は大きな窓にマンガを貼り付けるため、通常よりも高解像度なデータが必要となりました。

さらに白い紙ではなく透明な窓に貼り付けるため原稿の白い部分と透明な部分を分ける作業が必要となりました。 (さらにスクリーントーンを後からデータ上で貼り付ける作業も行いました)

スキャンしたデータは、ラスター画像と呼ばれ点が集まった画像になります。 これを拡大して印刷すると点が拡大しぼやけた画像になってしまいますので、ラスター画像をベクター画像変換する作業を行いました。

ベクター画像は、線(数式)で表現されるためデータで拡大しても品質が変わらないのです。

そして黒く印刷される部分、白く印刷される部分を分離する作業を行ったデータを印刷し最終確認を行いました。

 

 

黄色い背景が窓の透明な部分を想定しています。

今日修正したデータは、明日にも入稿します。 どのような仕上がりになるか、楽しみですね。

10月29日

今日もガツガツ作業は進んでいます! 各自、キャラクターを担当して、それぞれペン入れしていきます。

こちらはメインキャラクターのビリケンとくいだおれ太郎。何を話しているんでしょうか…?

今回のヒロイン、マリケンちゃん! お兄ちゃんに似ず、かわいい! 笑


※マリケンちゃんの画像は公開時まで秘密です。

10月28日

今日は原稿制作合宿初日でした! 作業場所はなんと三河先生宅! 合宿期間は三河先生が東京に戻られて京都のお住まいがあいているため、作業場として使わせて頂くことになりました。 すっごく綺麗なおうちです。家具もかわいいしオシャレ。

ゼミ生が用意してくれた特製原稿用紙(実際の窓の大きさ6分の1に縮小された枠線が引いてあるもの)に、枠線を引いてコマを割っていき、下描きのためのアタリをつけていきます。 もくもくと作業が続きます。

こんな感じで今日の作業は終了! 無事、全てのページ(というか窓?笑)の枠線引きと下描きのアタリつけが完了しました!わーい そして、こちらではすでにペン入れ作業に入っています。これはどの部分に当たるのでしょうか? シマウマ?

10月26日

今週もまた、皆さん真剣な顔で、製作中のネームを・・・だが! そこにあるネームは、既に完結していた!!そうっ! ビリケン物語、無事に話が完成したのです! ついでに版権のある登場キャラクター達の許諾も頂いての制作なので、早速今週からマンガ原稿の制作に突入です~!

いや~見てください! くいだおれ太郎も大喜びで駈けつけていますよ!えっ? 血の気が走ってるって?上手いこと言いますね~。このくいだおれ太郎の絵は、本編予定のネームで、とある事件に巻き込まれた太郎が、必死に群集達から逃げている所なんですよ。太郎ったら、なに起こしちゃったんでしょう? 続きは通天閣にて!

そして三枚目のこの写真は、展示イメージのコピーテストです。サイズ比だけで、実際の展示はもっとクリアかつ、クッキリと景色に写ったものになる予定です。そして今週からマンガ制作班は、本格的な集中原稿制作、いわゆる半カンヅメ状態での制作です。大変お辛いでしょうが、応援しています! 「気ィつけてなあ~!」

10月19日

初めましての方は初めまして!いや~今回のネームディベートは迷いに迷いましたんですわ~。

この一枚目と二枚目の写真は仕上がったネームを皆さんで確認しとるとこなんですよ。

でもまあ、問題なんは、通天閣の周辺が大阪なんやもんで、ビリケンさんとか、くいだおれ太郎さんのキャラ付けが皆さん大苦戦なんですねん。
なにせ、意外に関西出身が実は少ない事が分かりましたんでなあ・・・。

しかし、そこは流石、精華大学から集まった有志達、関西弁をレクチャーしてくれました。

「その大阪弁は古い言い回しですよ先生~」

「えっ? ~やさかいに、とか言わないの? ~と申しますねん、とかさァ」

「世代によって色々ですし、若い世代だと、関西弁の標準語がメインだったりと、細かい差があるんですよ~」

そして上がったネームには、新たに謎のうっツくしいナマ足が!?あ、アンタ! もしや! あの、あの有名なお方の・・・!?

10月12日

おはこんばんちわ! 今週はゼミで出来る最重要要素として、今プロジェクトのマンガ作画担当のお二人のネームを講評し、一枚目の写真は、その最中です。

 

 

 

 

 

「大阪ネタがもっと欲しいねェ ~」「このキャラクター○○、許可が取れますかね?」「大阪は魅力的な名物キャラがいっぱいいますけど、許諾が必要なケースも多いですね・・・」「そんな事ないでしょ? 大阪のおばちゃんとか、ジャンル系もあるわよ」 こうしてネームの講評は終わり、 ゼミ生の意見を元に、お二人が先生の監修で、マンガを進め、 版権キャラの許諾は、来週に許可の結果が分かるそうです。

二枚目のビリケン、それ、実は没案なのです・・・。大阪らしくもっとドツキ系キャラとして、 濃くなっていくことでしょうね。

「ビリちゃんはやめへんで~!」

10月5日

うおォン、私、佃は、この日から人間テキストエディットとして、TMゼミのおおさかカンヴァスに向けたレポをスタートしたのです。さて、この通天閣展望台でのマンガ企画、一言で言い表せば、「実現可能で前例がない」 という企画なのです。これだけ聞くと、経済的な現実的企画に聞こえ、更に予算は大阪府からのご支給なのですが、それでも広告的費用費としてはギリギリで、刷りまくリーノ !といった大盤振る舞いとは行きません。

そして、前例が無いとなると、大半の企画は自分達で試行錯誤しなくてはなりません。

 

 

 

この日は、通天閣の展望台4階の背景をマンガの背景に透け変え、キャラとフキダシなどを、ガラスによく使われるスモークフィルムで貼るといった、これだけ聞くと別に フツーの印刷貼りじゃん?と思われてしまうかもしれませんが、前例がないとは、マンガとしての展示なのです。

「夜は照明付けないとねェ~、見えないでしょ?」「でも、光が反射するかも知れませんよ、業者さんに頼みましょう」「印刷された巨大フィルムぐらい、自分達でも貼れないでしょうか?」「俺、自分のiPhoneのフィルムでも怪しいからねえ・・・(笑)」

こうしてこの日は、予算の予想と、キャラの許諾、この先のネーム案などの打ち合わせで終わりました。そのメモ結果が二枚目の画像です。 えっ? ほとんどわからないですって? 聞こえんなァ~? まあシークレットですので、続きは随時見せていきます ヨホホホ・・・。

いきさつ

京都精華大学の竹熊健太郎教授と講談社kissで編集者を務める三河かおり先生による、授業だけでは収まらない、新たなメディアクリエイターを育てるゼミ。それが私達、TMゼミ(竹熊・三河)です。

そんな我々は、今年ゼミに入りたての新人達の緊張や、マンガ業界に入り込みたいマンガ制作者の方達のネーム議論、関西ウォーカー様からの特集ページご依頼と、いくつもの課題が重なり合いながら、各自分散し、それぞれの作業に打ち込んでいました。

去年以前は、マンガのショートエッセイの企画を全員で参加製作し、オリジナルマンガ専門同人即売会のコミティアにも参加、TMゼミの紹介本を配布しています。

そんな我々ですが、今年度に入ってからは、各自が進めている企画が中心で大きな目標を持てずに、ゼミが発表と講評の場になっていました。具体的にいうと、各自のスキルは上がっても、集団としての前進が停滞してる傾向が強いのです。

漫画家志望に編集志望、実際の仕事も抱えた方がバラバラと集まっては、途中経過と先の目標を報告しあう、ゼミというよりは、報告会になりつつある、そんな集団一致出来ない問題にぶつかりつつある時でした。

今年の6月頃、竹熊教授の知り合いの方からのお誘いで、このおおさかカンヴァスへ企画を応募する話が舞い込んで来たのです。

おおさかカンヴァスとは、通称中之島の大きなこけしちゃん、Yotta Groove「イッテキマス NIPPON シリーズ "花子"」の展示や大阪府を走る電気自動車のロゴデザインなど、団体から個人まで、2010年から大阪府内全体をアートキャンパスに、という趣旨の、個人から企業とのコラボまで多岐にわたる大きなイベントです。

そして、我々TMゼミにとっては、正に日本でも数少ないマンガ系大学ゼミのアピールにうってつけで、ゼミが集団一致出来る、大きなターニングポイントになりました。

マンガを立体のアートとしても成立させる。その新たな挑戦に向けて団結することが全体としてのモチベーションを高める事にも繋がっていき、少し地道になりすぎてた所に、大きな目標に向けた、新たな挑戦を始めたと言ってもいいでしょう。早速、ゼミ内で参加するための企画議論が始まります。

よし、巨大化マンガ雑誌を道端に、いや、ロール状に包んだ空間を作って中にマンガを入れよう、いやいや、それならマンガに人間が入れるように、吹き出しやコマ枠を立体で作ろう。それなら・・・。

議論は現実という名の壁に挟まれながらも、みんなで精一杯、紙の枠を超えたマンガ表現のためにアイデアを出し合っては、現実考証という名のゲートに通過させて、候補を次々と減らしていきます。

そんな中で最後に残ったのが、竹熊先生が何気なくおっしゃった一言でした。

(竹熊教授)「大阪のあのさ、通天閣、あれの展望台の窓が沢山あるじゃないですか。あれをですね、おっきなマンガの展示に使えませんかね?」

(ゼミ生)「確かに、大阪の町並みを混ぜあわせながら、マンガを見れるのは楽しいですよね!展示の管理も楽そうですし、専用の印刷も業者さんに頼めますね」

(竹熊教授)「そうそう、でさァ、大阪の観光名物のキャラクターが出てくるんだ。大阪城とか、たこ焼きとか、ゆるキャラが飛び交うんだよ。んでもって主役は、通天閣にちなんでビリケンさんだね。くいだおれ人形(太郎)とどつき漫才すんだよ! なんでやねんッッッ! ってね!」

(ゼミ生)「あとは、若い人に受けるように萌えキャラとか欲しいですね~。何かしらありますでしょうか? 大阪の美少女になりそうなキャラクターは・・・?」

(竹熊教授)「それも、ビリケンだね! 萌えビリケンだよ萌えビリケンっ!兄妹でさ、はぐれた妹を探すため、兄ビリケンが大阪観光のように駆けまわるわけ。そこにあの、くいだおれ人形(くいだおれ太郎)とか、つぼらやのフグが乱入して・・・」

こうして議論の末、おおさかカンヴァスエントリープランは、通天閣4階の展望台(全5階建てであり、5階も展望台ですが、貸切るのは4階の展望台一角)をお借りして、全36枚組の展望ガラスをコマとして、大きなスモークフィルムで印刷した、背景に溶け込めるマンガを考案。

「ビリケン物語~通天閣純情編~」をタイトルにし、企画書として申し込んだところ、無事に大阪府・おおさかカンヴァス推進事業部様から、採用意見を頂きました。

今後、本TMゼミ特設サイトでは、このおおさかカンヴァスプロジェクト、通天閣展望台4階貸切マンガ「ビリケン物語~通天閣純情編~」の進行状況、制作しているマンガの一部(全貌は展示後、通天閣へ直接お足をどうぞ!)を文章、写真も添えて、ご紹介していきたいと思います。

果たして、通天閣から目に映る大阪の濃い街並みは、どう我々のマンガを包み込んでくれるのでしょうか? 吉本興業も近いですから、ここは是非、そんな大阪の街並みに、マンガでツッコんでいきましょう!

(通天閣)「ほな、頼みますさかい~」

※以下で取り上げた展示するマンガについては、あくまでも企画時点での案であり、完成作品は異なる展開になる場合もあります。